<金口木舌>成熟期迎えた宮里優作


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 1999年、賞金王となるタイガー・ウッズと全米プロで優勝争いし“神の子”と称された19歳の少年がいた。セルヒオ・ガルシア(スペイン)だ。今季メジャー第1戦のマスターズ、37歳になったかつての新星が輝いた

▼プレーオフでの初制覇。メジャー74度目の挑戦だった。「もう勝てない」と感じていたこともうなずける。勝利の瞬間、テレビに映った拳が道のりの険しさを物語った
▼アマチュア時の活躍や周囲の期待など、国は違えどガルシアと似ているのが、同世代の36歳、宮里優作選手だ。アマでは敵なしを誇りプロに転向したが、ツアー初優勝に11年かかった。15回の最終日最終組はいずれも涙をのんだ
▼58年の歴史がある中日クラウンズもそう。学生時代の4位など、ベストアマを連続で獲得。いつ勝ってもおかしくないと言われ続け、17年連続出場の今年、初の戴冠となった
▼最終18番、バーディーパットはカップを一周し吸い込まれた。3週間前のガルシアのその時と同様に、拍手が鳴り響いた。プロ冥利(みょうり)に尽きるとした接戦は、ファンをうならせた
▼県外進学前の東中3年生、宮里選手を取材した。経験豊富な大人を相手に、県内の主要大会で何度も表彰台に上がっていた。数々の最年少記録を樹立した逸材は技術、精神面とも成熟期を迎えた。名護市で11日に始まる日本プロで5勝目に挑む。