<金口木舌>ファンのフェアプレー


この記事を書いた人 琉球新報社

 主役の選手だけではない。審判や観客、テレビ観戦のファンそれぞれが試合に関わる。この一体感がスポーツの醍醐味(だいごみ)であり、勝敗を超えた爽快感にもなる

▼4月29日、サッカーJ2千葉-徳島戦で、残念な行為があった。徳島の選手が球の受け渡しにやや時間がかかったボールボーイを小突き、さらに徳島側観客席から別のボールボーイにアルコールと思われる液体がかけられた
▼選手の乱暴な行為は一発退場となり、液体については球団が謝罪し再発防止を約束した。「被害」に遭ったのは地元の中学生だ。国内トップクラスの試合への参加が、不快な思い出だけに終わらないことを願う
▼対照的に、会場を温かな空気で包んだのがバスケットボール、Bリーグの琉球ゴールデンキングス-大阪エヴェッサの最終戦だ。敗れて肩を落とす相手選手へ、キングス応援団がチーム名を連呼し健闘をたたえた
▼「あれがキングスの強さです」。後日、伊佐勉ヘッドコーチはブースターのフェアプレーに胸を張り、勝因にも挙げた。栃木の田臥勇太選手も指笛が鳴り響く応援など、地域色あふれるスタイルに刺激を受けたという
▼主催試合の年間観客数でキングスは3位。負けが込む中でもファンは選手のそばにいた。きょうから決戦が始まる。沖縄で応援する県民も気持ちは一つだ。喜びは何度あってもいい。