<金口木舌>復帰45年の分断


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 沖縄地方は13日、平年より4日遅れで梅雨入りした。5・15平和行進団も激しい雨の中を歩いた。土砂降りだった45年前の復帰の日を思い出した人もいよう

▼今年の梅雨入りは奄美地方と同日となった。沖縄気象台と鹿児島地方気象台が個別に判断した結果だったという。雨をもたらす前線は県境を超えるが、梅雨入りを判断する気象台の管轄は、北緯27度線で分かれているかのようだ
▼施政権返還で分断の歴史は終わったが、基地を残したままの復帰の現実は「一体化」「本土並み」の掛け声をかき消した。私たちは今、高江、辺野古、沖縄ヘイトを見詰める。拭い難い分断を県民は感じている
▼米統治下、二重の分断に苦しんだ人たちを忘れてはならない。沖縄にいた奄美出身者である。1953年12月の奄美の日本復帰に伴って法的な権利を失い、冷遇された。68年まで投票権さえなかった
▼奄美の出身者が持たされた在留許可証明書が14日付本紙に載っている。沖縄社会で受けた差別と分断を象徴していよう。72年、2度目の復帰を果たした奄美出身者の歩みを沖縄戦後史に刻んでおきたい
▼今年の平和行進の列にいた県民は、大雨に打たれながら何を思っただろう。今も終わらぬ分断の歴史を引きずるような重い歩みではなかったか。それを私たちの力で終わらせたい。差別の分断線を溶かす慈雨を待ちながら。