<金口木舌>お家芸で光る若手の活躍


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 これぞ、お家芸だ。国内トップがそろう全日本重量挙げ選手権(5月26~28日)で、県勢が男子4階級、女子1階級を制した。入賞者は11人に上り、「沖縄強し」を示した

▼リオ五輪4位の糸数陽一選手の4連覇は貫禄勝ちだった。大会前に肋骨(ろっこつ)にひびが入り、まともに練習できなかったが、結果を残した。県内で切磋琢磨(せっさたくま)し、栄冠を射止めた2人も見逃せない
▼94キロ級・屋良一郎選手と105キロ超級・知念光亮選手。共に沖国大4年生だ。年始めの日本代表合宿にも参加した知念選手は10連覇中だった第一人者の牙城を崩した。伸び盛りの勢いは顕著だ
▼ベスト記録上位者に勝ち切った屋良選手も特筆ものだ。というのも屋良選手は元全国高校王者で、万全でなくても優勝できるほど無敵を誇った。しかし大学入学後、一変する。記録は伸びず「定位置」の頂点から遠のいた
▼「さまざまな練習を取り入れ過ぎて、前が見えなくなった」。悩み抜いた結果、昨年暮れ、基本に立ち戻った。下半身を強化し、足の運び方など競技を始めた当初の練習を繰り返した。その結果、4月末の学生選手権で自己新をマークし優勝。全日本も好調を維持した
▼かつて吉本久也選手が2大会連続で五輪に出場するなど、県勢は重量級で強かった。刺激し合い成長する若手2人の活躍は、東京五輪へ向けた新たな光となる。