<金口木舌>くくり方ひとつ


この記事を書いた人 琉球新報社

 学生時代に助っ人として都内でみこしを担いだことがある。終わった後、祭りの世話役がくれた缶ビールを手に見入った華やかな舞いが阿波踊りだった

▼本場は徳島だが、関東など各地の祭りで踊られる。その踊り手の集団は「連」と呼ばれる。エイサーで言えば青年団や演舞集団に当たるだろうか。「エイサーしんか」といった方が通りが良さそうだ
▼「連」の文字には「掛かり合いになる」との意味もある。踊りが好きで活動を共にする人たちということなのだろう。阿波踊り好きが集うと「連」だが、主義主張を同じくする集団は「党」になる
▼例外的に、飲み助は「左党」、悪巧みでまとまると「悪党」とも。ひとくくりにするという意味では、政治での用法と共通する。同じくくり方でも最近引っかかりを覚えるのは「派」だ
▼中央メディアの沖縄報道で、基地問題に関連して「賛成派」「反対派」と使われる時だ。そこまで単純だろうか。割り切れなさも抱えつつ、米軍普天間飛行場移設問題などに多くの人が向き合おうとしているのが今の沖縄ではないか
▼「連」の字には「仲間」の意も。「しんかぬちゃー」と言う場合もそうだ。「派」だと、自らとは関係ないものを指すような感じも受ける。「仲間になって」とは言わない。等しく向き合うべき問題であるとの理解が少しでも広がることを願うだけだ。