<金口木舌>自然守る教育


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 「インターネットでヤンバルクイナを見て、実際に見た気になっている子もいる」。国頭村で開かれた村内小中学校教職員の研修会で、参加者が話した

▼地元でも住宅や商店が比較的多い地域では、実際にクイナを見たことがある子どもは少ないという。「鳴き声が毎日のように聞こえてくる」という地域もあるが、姿を見せてくれるとは限らない。小学校教師は「まずは声だけでも覚えてほしい」と期待する
▼世界自然遺産登録を目指すやんばる地域。地元の動植物や自然について学校でどう教えていくか、具体的手法が課題となっている。研修会は環境教育の進め方を考えようと、環境省やんばる自然保護官事務所の呼び掛けで開かれた
▼面積は日本の0・1%にしかすぎないやんばるだが、国内で見られる鳥類の半分に当たる約300種、両生類は4分の1の10種類を見ることができる。固有種が多いのが大きな特徴だ
▼一方で、絶滅が危惧される生き物たちも多い。ヤンバルクイナ、ノグチゲラ、ヤンバルテナガコガネ…。希少な動植物が、人間の営みの影響を受けて数を減らしつつある
▼「子どもたちが、地元の自然を自分の言葉で説明できるようになってほしい」。研修参加者の多くが同じように語った。貴重なやんばるの自然について学び、知ることが、守っていくという意識につながるはずだ。