<金口木舌>小林麻央さんから学ぶこと


この記事を書いた人 琉球新報社

 人は自分の弱みを他人に見せることはあまりしない。心や体が弱っている時、身近な人にしか本音は話せない。芸能人など“人気商売”の人たちは、自身の弱みについては公にしない人がほとんどである

▼そんな中、フリーアナウンサーの小林麻央さんは勇気ある人だった。不特定多数の人に向けて、ブログで闘病生活を赤裸々につづった。公表の理由を「ブログという手段で(がんの)陰に隠れているそんな自分とお別れしようと決めました」と書いた
▼今や、がんは日本人の2人に1人がかかる身近な病気である。小林さんだけでなくミュージシャンの桑田佳祐さん、タレントの北斗晶さん、女優の樹木希林さんなど一部の有名人も罹患(りかん)を公表している
▼その声は患者の励みになるだけではない。「私に関係ない」と思っている人に「検診受けてみようかな」と、促すきっかけにもなる。北斗さんが乳がんを公表した時は、検診受診者が各地で増えた
▼医療の進歩などでがんの5年生存率は6割を超え、通院治療も可能になってきた。働き盛りの世代が離職することなく、がんにかかっても治療と仕事を両立できる環境づくりが必要である
▼私たちにできることは、検診での「早期発見・早期治療」。行政や企業、医療機関に求められているのは、患者の生活の質の向上に向けた体制づくり。小林さんから学ぶことは多い。