<金口木舌>子の成長支える責任


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「貧困という言葉が一人歩きすると困る」。子ども食堂に取り組む団体の代表が、活動について説明する中で話した。「子どもの貧困」に対する国の緊急対策事業を受け、自治体が補助金交付を伝える席だった

▼「貧困の子のため」と限定してしまうと、顔を出さなくなる子がいるかもしれない。地域の子どもたちを分け隔てなく見守るような活動にしたい。だから「貧困」という言葉は、取り組みを説明する上で使いたくないと言う
▼同じようなことを違う場で別の団体からも聞いた。子どもへの食事提供に取り組むが、人間関係などを含め、さまざまな「生きづらさ」を抱える子どもたちを支えたいと活動している
▼一人一人が抱える事情は異なり、子どもたちを巡る問題の解決は容易ではない。一方で、大きな社会問題となっている「子どもの貧困」が、多くの児童生徒の「生きづらさ」につながっていることも事実だ
▼厚生労働省が6月27日に発表した全国の「子どもの貧困率」は2015年時点で13・9%(7人に1人)。県が16年に発表した同時期の実態調査では、県内は29・9%(3人に1人)で全国の2倍超という深刻な状況にある
▼経済的事情にかかわらず、子どもたちに伸び伸び成長してもらいたい。その思いは、子の居場所づくりに取り組む関係者共通の願いである。子の成長は大人の責任だ。