<金口木舌>わんぱく相撲と人づくり


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 堂々とした取り口とは対照的に、勝ち名乗りを受けた笑顔が何ともかわいらしい。浦添市わんぱく相撲大会が6月、30回を数えた。今年も市内全11小学校の児童300人余が土俵で歓声を受けた

▼市内のちびっ子力士が県大会連覇や九州、全国で上位に入賞するなど好成績を挙げてきた。社会人になって地域に戻り、熱心に指導する人材も育ってきた
▼歴史を重ねた大会、層の厚い指導者などを見ても浦添市の相撲熱の高さが分かる。地域を代表する競技はハンドボールだが、7月で発足10年となった市相撲連盟は市町村単位では県内唯一。毎年夏に行う市長杯大会は離島を含め県内全域から参加する
▼連盟の幸地剛理事長は「大相撲へ進む力士の発掘、育成だけでなく、人間形成を図る活動が基本にある」と語る。2004年の市相撲場完成に人一倍尽力し、子どもが頑張れる環境づくりへ、今も力を注ぐ
▼「相撲は球技に比べ派手さはないが、体と体をぶつけ合い、稽古で泥だらけになる。他人の痛みも分かり、人間磨きの場ともなる」。幸地理事長の言葉には体だけでなく、心を鍛えてほしいという願いがこもる
▼指導者と選手、選手同士など、信頼関係を築けることも相撲の魅力と幸地理事長は話す。競技の一つでも、その本質を掘り下げていくと、親子やきょうだいで感じるような絆も生まれる。