<金口木舌>給食のカレーライス


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 小学校低学年の頃、学校給食に出る温かい脱脂粉乳をすすった。それほどおいしいとは思わなかったが、丈夫な体をつくると先生に諭された。飲めずに涙をこぼす子もいた。1972年の復帰前後のことだ

▼完全給食が始まったのは70年代半ばであった。パン以外におかずが出たのは新鮮だった。そんなところに「ヤマト世」の訪れを感じたように思う。しばらくして米食も始まった
▼人気メニューはカレーだった。ちょっと水っぽくて、ジャガイモとニンジンの粒が大きかった。レトルトカレーの味に親しんでいたが、級友と食べる給食カレーはうまかった。ルーの色は黄色だったか
▼給食のカレーで一悶着(もんちゃく)が起きている。全国学校栄養士協議会が呼び掛けた82年1月22日の全国統一献立のカレーライスに沖教組が反対した。「心の支配と合わせて胃袋の支配まで企図している」というのが反対の理由
▼教育内容の国家統制、学校現場の管理強化への危機が叫ばれた時代であった。給食カレーに降って湧いた騒動。カレー好きには心痛い出来事だった。当時の小欄は「庶民の味カレーライスが政治的な論議に巻き込まれた」と怒っている
▼23日付本紙「てみた。」は食堂やそば屋のカレーを取り上げた。懐かしの黄色いカレーもある。小学生の頃食べた給食のカレーをもう一度食べたい。忘れ難い思い出の味だ。