「地域住民のオスプレイの安全性への懸念は払拭(ふっしょく)されていない」。6年前の米海兵隊MV22オスプレイの沖縄配備の声かと二度聞きしてしまった。今月の米空軍CV22オスプレイの日本到着を受けた地元市長のコメントだ
▼横浜市の米軍施設に3日、海兵隊のとは違う暗い鉛色の機体が陸揚げされた。夜間飛行能力が強化されており、夜陰に乗じた強襲を想像するとなんだか不気味だ
▼陸揚げの翌々日には横浜から米軍横田基地へ、住宅地上空を飛行しながら移動した。畑作業をする人の横を飛ぶオスプレイを映したテレビの映像を見ていると、沖縄の上空とだぶって見えた
▼CV22の横田配備を巡っては当初2017年後半の配備予定だったのを、いったん19年以降に延期を発表。それが急遽(きょ)4月3日に前倒しを公表、その日に陸揚げした。実は日本政府には3月中旬で既に通知済みだった。これまた沖縄への配備の隠蔽(いんぺい)姿勢と重なる
▼CV22は横田だけの話ではない。防衛省の説明では「輸送の対象となり得る部隊」として沖縄のトリイ通信施設の陸軍と嘉手納基地の空軍の特殊部隊が明記されている
▼オスプレイの訓練受け入れに全国で唯一前向きな米山隆一新潟県知事は、CV22の配備で「結局、自分の問題だと今分かった」と指摘した。沖縄の基地負担の問題が全国で「人ごと」でなくなるのはいつだろうか。