<金口木舌>キング牧師が教えてくれたこと


社会
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 米国では政府が定める祝日が年10日ある。その一つが1月の第3月曜、マーティン・ルーサー・キング牧師の日だ

▼公民権運動指導者の誕生日1月15日を記念し、1986年から始まった最も新しい祝日。キング牧師は生きていれば89歳に。だが、68年4月4日、テネシー州メンフィスで白人男性の凶弾に倒れた。39歳だった
▼暗殺から50年の今年、彼の生涯や苦悩、非暴力闘争を伝える特集が数多く紹介されている。無抵抗の黒人に警察犬をけしかけ、高圧ホースで水を打ち付ける当時の映像。権力が民衆を弾圧する姿に今を重ねた
▼AP通信などの調査によると、アフリカ系米国人の10人に1人しか、今の社会は公民権運動のゴールを達成していないと答えた。警察による黒人への暴力に抗議し「Black Lives Matter」(黒人の命は大切だ)という運動が若者を中心に続いている
▼亡くなる前日、キング牧師は「国に向けて言うべきことは一つ、『憲法に定められたことを守れ』だ」と演説した。集会の自由、言論の自由、報道の自由、正義のために抗議する権利を訴え、「さらなる困難が待ち受けているだろう」と述べた。だが、私たちは必ず「約束の地」へたどり着く、とも
▼ルールをねじ曲げる権力が日本でもはびこる。立ち向かうには声を上げ、行動を続けること。キング牧師は今も教えてくれている。