<金口木舌>下校時も見守りたい


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 同じ年頃の子どもを持つ親として胸が苦しくなった。新潟市で小学2年の女子児童が首を絞められ、遺体が線路に放置された事件。現場近くでは不審な車両が目撃されていた

▼女児が連れ去られたのは学校から自宅に戻る下校時間、友人と別れた後。被疑者の男は「車で女児にぶつかった」と供述しているという。計画性の有無など、実態解明が求められる

▼子どもを狙った連れ去り事件などの背景にはある“前兆”があるとされる。県警によると、事件発生の前段階で、声掛けやつきまといなどの事案が発生していることが少なくない

▼県内ではここ最近は子どもの連れ去り事件などは発生していないが、声掛け事案はたびたび発生している。声掛けやつきまといを見過ごすと、今回のような大事件に発展する恐れもある

▼取材で訪れる本島中南部は、PTAなどによる登校時の交通安全運動が盛んだ。子どもたちを見守る地域の目は非常に心強い。一方、下校時は大人の見守りがない中、友達同士や1人で帰る子どもたちの姿が目立つ

▼犯罪は被害者や家族から平和な日常を突然奪うだけでなく、地域社会全体を不安に陥れる。地域の宝である子どもたちを奪われないよう、下校時も組織的な見守り活動ができないか。警察や学校、保護者や地域で活動する企業や団体など、全ての大人たちが方策を考える時だ。