<金口木舌>エベレストに挑み続けていた人類・・・


社会
この記事を書いた人 琉球新報社

 エベレストに挑み続けていた人類がその頂きに立ったのは65年前のきょう。英国隊のヒラリーとテンジンによるアタックで、到達は午前11時30分だった

▼初登頂以前はもちろん、以後も多くの挑戦者が命を落とした世界最高峰だ。今月も日本人登山家が遺体で見つかった。アルピニストの覚悟が死を恐れない挑戦の歴史となってきた
▼唐旅とは死出の旅を言う。沖縄から中国への船旅は大変な危険を伴った。進貢や学問のためといえど、中国に渡るのは相当な覚悟が必要だった。それだけの決意で渡る大陸で新たな知識や技術を吸収した
▼今の嘉手納町出身で中国から甘藷(かんしょ)を持ち帰った野国総管もその一人。イモに関わる関係者でつくる「沖縄いもづるの会」の会長を務めた伊波勝雄さんは、総管が土地の痩せた海辺の出身だったからこそ、甘藷の有用性に着目できたと指摘する
▼「耕す土地がなければ頭を耕せ」をコンセプトに生まれた嘉手納外語塾が設立20年を迎えた。町独自の人材育成策だ。米国留学などで英語力を高めるほか、講義では地域文化への理解も深める。巣立った181人は国内外で活躍している
▼塾訓には野国総管が身をもって示した国際性や進取の精神、社会貢献を掲げる。塾から羽ばたく人材はどんな壁をも超えて世界で躍動するだろう。その姿は町の子どもたちに大志を抱かせてくれるはずだ。