<金口木舌>地域の歴史や文化だけでなく、世・・・


社会
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 地域の歴史や文化だけでなく、世界にまで視野を広げたい。西原町の垣花武信さんは1999年、「学び」を続けたいという60歳以上の人のために、生涯学習サークル「四季の会」を立ち上げた

▼学識経験者や伝統芸能の人間国宝、オペラ歌手、南極探検家、寺の住職ら。各分野で活躍するスペシャリストを講師に招き、体験談や裏話に耳を傾けた
▼メンバーが何より楽しみにしていたのは、県内各地の歌碑巡りだ。離島を含め県内各地に赴き、琉歌を通して沖縄の先人たちが歩んだ歴史や土地への思いを学んだ
▼3月、四季の会は20年の歴史に幕を閉じた。最高齢は86歳。「高齢で体の自由がなかなか利かなくなった人たちもいる。ちょうど20年はいい節目だった」。垣花さんは20年の歩みを撮りためたアルバムをめくり、しみじみと語った
▼18世紀の琉球の著名な政治家で学者の程順則(名護親方)が有名な言葉を残している。「今(なま)童(わらび)やてぃん 白(しら)髪(ぎ)被(か)みとてぃん 重(うむ)さ御(うん)沙汰(さた)や 肝(ちむ)どぅやる(子どもでも年寄りでも、人に重んぜられたり尊ばれたりするのは、その人の心掛け次第だ)」
▼四季の会のメンバーは毎朝の交通安全運動などで地域活動をしている人たちも多い。高齢になってなお学び続け、地域社会に貢献し続ける意欲はどこから来るのか。沖縄を支えてきた人たちの心意気は生き方のヒントを与えてくれる。