<金口木舌>サッカーW杯の陰の主役はルール変更だったかもしれない。日本代・・・


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 サッカーW杯の陰の主役はルール変更だったかもしれない。日本代表の決勝T進出は、イエローカードなどの反則で減点する、今大会からの新制度、フェアプレーポイントが明暗を分けた

▼だが試合中にプレーヤー自身が、一方的に自陣に都合よくルールを変更してきたらどうだろう。通常ならあり得ないが、参院の定数を6増する法案が衆参両院で可決、成立した。議員定数削減の世の潮流に逆行すると批判が強い
▼定数増は、沖縄返還決定を受けて沖縄選挙区が新設されて以来。少子化が進む昨今、地方議員などの議員定数は減る方向で、参院も2000年に10人減とした経緯がある
▼定数増の目的はこうだ。選挙区の議員1人が当選するのに必要な得票数に地域差が生まれる、いわゆる「1票の格差」を解消する。さらに県境を越えて選挙区を統合した合区を救済する…
▼違憲状態の解消という題目を一見すると、ひとまずなるほどと思う。しかし、そこには特定の党の勢力拡大の思惑がちらつく。議員の権益拡大では、との疑念も消えない
▼沖縄選挙区の新設を定めた沖縄住民の国政参加特措法は「日本国民たる沖縄住民の意思をわが国のあらゆる施策に反映させるため」と明記している。当時の定数2増は誰もが納得する理由があった。果たして今回の6増はどうか。参院の「良識」にレッドカードが出ている。