朝起きて、布団を抜け出すとセミの合唱が聞こえてきた。暴風が吹き荒れているのかと思ったら雲間から太陽がのぞいている。台風の目に入ったかと早合点した。拍子抜けの台風10号の直撃であった
▼沖縄気象台によると、海水温が低く勢力が発達しなかったという。大きな被害がなかったのは幸いだったが、夏休み初日のイベントを中止や延期に追い込んだ迷惑千万の台風だ。子どもから大人まで恨み節の大合唱だったに違いない
▼もちろん台風への備えは万全でありたい。10号に続き、熱帯低気圧が宮古と八重山を襲った。全国でも自然の猛威が身に染みる夏になった。200人余が犠牲となった西日本豪雨の被災地は、今も復旧の最中にある
▼沖縄の宿命だろうか。台風を恐れながら、恵みの雨を待ち望む。相次ぐ台風のおかげで忘れていたが、1カ月前まで県民は水不足を心配した。今では信じ難い
▼信じ難いと言えば大雨警報が出た5日夜、閣僚や自民議員が開いた「赤坂自民亭」。あまりにも危機感を欠いている。共同通信の世論調査によると、62・2%が安倍内閣の豪雨災害への対応を「評価しない」と答えた
▼怒りの声は届くのだろうか。20日の記者会見で安倍晋三首相は被災地の復興・復旧に「政府の総力を挙げて取り組む」と述べた。その本気度が問われよう。国民は厳しい目を向けている。