<金口木舌>「AKBでしょ」で納得


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 旧盆で選挙の話をしていると、9歳の女の子が「何の選挙?」と会話に加わった。選挙への興味を示したことに大人が感心していると、女の子の言葉「AKBでしょ」で納得した

▼アイドルグループAKB48は毎年「選抜総選挙」を行い、メンバーの人気順位を決める。選挙という言葉の浸透に一役買ったか。投票方法の一つが楽曲CD1枚を購入すると1票を得られるものだ。多くを買えば投票回数は増え、経済力の強い者が有利に
▼実際の公職選挙で、この手法がまかり通ると困りものだ。民主主義が根幹から揺らぐ。きょうは5市議選の告示日。4日には21町村議選も告示される。公正な選挙は大前提だ
▼2016年に選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから初の統一地方選にもなる。県内18、19歳100人に対する本紙調査で、地元の選挙を「知っている」が7割、「投票に行く」は6割だった
▼30日付に掲載された若者の願いは「もっと私たちの声を聞いて」。思い返すと、街頭などで候補者の発言を一方的に聞く場面は多い。翻って、有権者の声を候補者が聞く姿を見掛けることは報道でも少ない
▼多くの民意を反映し、一部の独裁を許さない。公平な社会の実現のためにも投票率向上、次代を担う若者の政治参加は大切だ。首相も高校生も、経済力も年齢も関係ない。投票は皆1票のみ。だからこそ重みがある。