<金口木舌>山本KID徳郁さんと公共交通


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 7月1日時点の県内地価は前年比で5・0%上昇し、全国一の上げ幅だった。人口増や好調な観光などで県内景気が拡大していることが背景にある

▼沖縄に魅了され移住した人たちも人口増に寄与している。総合格闘技界のスーパースター、山本KID徳郁(のりふみ)さんは沖縄を拠点に活動していた。踏み込みの早いパンチや膝蹴りなどで対戦相手をKOする勇姿を覚えている人も多いはずだ
▼41歳の若さで亡くなった山本さんは苦境も経験した。2005年に世界王者になった後は、けがなどに悩まされ、満足に試合ができない時期も。ファイトマネーで購入した愛車を売却し、東京では電車など公共交通を利用していたという
▼沖縄は車社会。那覇市を走るモノレールは延長されるが浦添市まで。古くから鉄道のある他県と比べると公共交通機関は至って貧弱だ。人やモノの移動は車に依存するほかない
▼東海岸へのゆいレール延伸を求める西原町民総決起大会が先日開かれた。上間明町長は「地域振興の効果を最大限に発揮するために不可欠なのが公共交通の整備」と東海岸の発展による“西高東低”の是正を訴えていた
▼22日は都市生活と車の使い方について考える「カーフリーデー」。騒音や排ガス、交通事故の少ない社会を公共交通を充実させることでつくれないか。バブルではなく、持続可能な発展を見たい。