「安久」に「和平」「自由」。ソニー生命保険が実施したアンケートで、新しい元号の予想に挙がった候補だ。フィギュアスケートの羽生結弦さんや将棋の羽生善治さんが念頭にあったのか「羽生」もある
▼天皇陛下は来年4月末に退位し、新天皇の即位に伴い5月1日から元号が変わる。政府は改元日の1カ月前に新たな元号を公表する予定だが、カレンダー業界などは頭を悩ませているらしい
▼年号は中国・漢の武帝時代に「建元」で始まった。日本で最初の年号は「大化」で、現在の平成まで247の年号が登場した。韓国や台湾、ベトナムなど東南アジアにも広がり、中国の影響の広がりを感じさせる
▼現在は元号法などに基づき元号を決めるにはいくつかの留意事項がある。「国民の理想としてふさわしい」「書きやすいこと」「読みやすいこと」に加え、「漢字2字」というのが決まりだ。それを踏まえて有識者が候補を考案する
▼23日は明治改元から150年を迎え、政府が記念式典を開催した。安倍晋三首相は式辞で、アジアへの侵略戦争という負の歴史に言及せず、野党などから批判を浴びた
▼先のソニー生命の新元号予想で最も多かったのは「平和」。首相は「平和で豊かな日本を、次の世代に引き渡していく」と決意を述べた。過去の過ちへの反省なしに、どんな「平和」を引き渡そうとしているのだろうか。