<金口木舌>怠け者と観光客

 たき火のそばに長くいると、すねにできる斑点。それを剝ぐ行為、スネカワタグリ(脛皮たぐり)が由来とされる。無形民俗文化財「吉浜のスネカ」(岩手県)のことだ

▼8県10件の伝統行事で構成する「来訪神 仮面・仮装の神々」として、ユネスコの無形文化遺産に登録される見通しになった。うち東北地方の3件と「能登のアマメハギ」(石川県)の由来は斑点に関連している。興味深い
▼有名な「男鹿(おが)のナマハゲ」(秋田県)もそうだ。方言で「ナモミ」と呼ぶ斑点を剝ぐ「ナモミ剝ぎ」からくる。これらの行事には寒い日に、火のそばに居続ける怠け者を戒める意味合いもある。南では「怠け者の戒め」の要素は薄まる
▼10件に含まれる「宮古島のパーントゥ」では厄払いや豊穣(ほうじょう)を祈る。共通するのは、子どもたちが泣いて逃げ回る光景が見られることだ。「来訪神」らは仮面をかぶるなどして見た目は怖い
▼悪いことをすると来るぞ、というしつけの要素もあるのだろう。無形文化遺産登録の見通しで、各地域は喜びに沸く。人口減少による後継者不足など、課題解決につながる期待もあるからだ
▼観光客が増えても儀礼的な精神や本来の趣旨は失わないでほしい。「パーントゥ」では泥を塗られた観光客から苦情が寄せられたこともあったという。よそから来る人は、それが地域の伝統行事だと覚悟して臨みたい。



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