予想通りと言うべきか。辺野古新基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票で正しくない情報がネット上に出てきた。県民投票が「民間団体主催」で、個人情報流出の恐れとも書き込む
▼これは正しくない。県民投票は県民投票条例に基づき県知事が執行し、実際の投開票事務は各市町村が担う。選挙での投開票と同じような手続きとなり、民間が関与する仕組みはない
▼9月の知事選でも正しくない情報が飛び交った。ほとんどは玉城デニー氏に関する、事実ではない情報や誹謗(ひぼう)中傷の書き込みだった。琉球新報は事実に即してそれらが正しいか検証するファクトチェックを初めて実施した
▼在日コリアンへのヘイトでもフェイクニュースで差別をあおる言説があふれる。見ていると妙な共通点に気づく。政府の方針に対峙(たいじ)したり、批判的だったりする発言に攻撃が集中するように見える
▼海外では政府が対策に乗り出している。マレーシアで今年フェイクニュース禁止法が成立、欧州でも立法化が進む。表現の自由から立法化に慎重な声もあるが、日本には民間のファクトチェック・イニシアティブがあるだけ
▼フェイクニュースによる世論操作の懸念も指摘される。放置すれば民主主義の崩壊につながる。いったん流れたフェイクを打ち消すのは容易ではない。だからこそファクトチェックが必要になる。