<金口木舌>二風谷判決と沖縄

  「わが国の統治が及ぶ前から北海道に住み、独自の文化を保っており、先住民族に該当する」。1997年3月、札幌地裁で言い渡された判決に原告のアイヌ民族の人々は驚き、涙を流した

▼司法の場で初めてアイヌを先住民族と認めた、二風谷(にぶたに)ダム建設を巡る訴訟の判決だ。ダムに水没した地域を含め、平取町(びらとりちょう)二風谷の沙流川(さるがわ)沿いはアイヌの伝統的な舟下ろし行事「チプサンケ」が伝わる聖地だった
▼町出身でアイヌ民族として初めて国会(参院)議員も務めた萱野茂さん(故人)らが、土地の明け渡しを拒否して法廷で闘った。判決はダムが完成していたことから建設差し止め請求を棄却したが、土地収用の違法性を指摘した
▼判決の根拠の一つに、民族的マイノリティーの権利保護を定めた国際自由権規約27条があった。政府が2008年にアイヌ民族を先住民族と認める前の画期的な判断だ。判例は4日に京都地裁に提起された琉球遺骨返還請求訴訟でも訴状に引用された
▼旧帝国大学の人類学者が持ち去った遺骨を取り戻す運動もアイヌ民族が先行し、一部で返還を勝ち取っている。近代以降の同化政策など、アイヌと沖縄に共通する点は多い
▼しかし政府は沖縄の人々の権利保護を求めた国連自由権規約委員会の勧告を無視している。米軍基地問題を含め、政府は沖縄に対する政策を見直す時期に来ている。



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