<金口木舌>世界ウチナーンチュセンター

 ことしの干支は亥(い)。イノシシを指すのは日本の話。中国を訪ねた時、十二支の石像の中に豚がいることを珍しく感じたが、アジア諸国では豚が一般的だ

▼イスラム教徒が多数を占めるマレーシアでは、豚を「けがれた」動物とするイスラム教徒に配慮し、旧正月の豚の飾りは自粛ムード。中国系が多数の隣国シンガポールの派手な飾り付けとは対照的だ
▼沖縄食文化の代表格といえる豚料理。戦前のハワイでは養豚を営む県系人もいたが、「オキナワケンケン、ブタカウカウ」の蔑称を日系人から投げ掛けられた。互いの文化を尊重する精神は今よりも希薄だった
▼県系人は苦境を乗り越えながら、戦禍で荒廃した沖縄を救うため奔走した。ハワイからは豚550頭が贈られた。新しく開館した県立図書館は移民史を伝えるコーナーを常設し、ルーツを調べたい県系人の手助けもする
▼2年前、87歳で亡くなった喜舎場朝介さんはハワイ移民2世。学徒兵として沖縄戦を体験、戦後に渡米し徴兵されて米兵になった。晩年、「沖縄を訪ねる県系人のための拠点がない」と整備の必要性を説いた
▼交流拠点となる世界ウチナーンチュセンター(仮称)の計画が市民レベルで動きだしている。2022年の設置を目指し、県に要請した。文化の相互理解をさらに前へ。喜舎場さんの夢の実現は、多くの先人の願いでもある。









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