<金口木舌>平等と民族自決


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 日本の植民地統治からの解放を訴え、1919年3月1日に始まった朝鮮の「三・一運動」からきょうで100年。独立を訴える人々が各地で配った「独立宣言書」は人類が平等であり、民族自決の権利があることを強調していた

▼宣言書は朝鮮が独立することで日本とも正しい友好関係が築けると訴えた。だがデモが朝鮮全土に及ぶと日本の朝鮮総督府は警察だけでなく軍隊を投入し、銃撃を加えるなどして弾圧した。犠牲者は7千人を超えたとの説もある

▼韓国では今年、100周年行事が各地で行われている。一方で日韓関係は混迷を深めている。元徴用工訴訟の判決、天皇陛下に慰安婦問題への謝罪を求めた韓国国会議長発言などが相次いだ

▼日本による植民地支配に端を発する問題だが、日本政府は反発を強める一方だ。文在寅(ムンジェイン)大統領は1月、元徴用工問題の根源を「韓国政府がつくったのではなく、過去の不幸な歴史のためにつくられた」と指摘した

▼韓国では「3・1運動」を1980年の光州事件や87年の「6月民主抗争」など、独裁政権からの解放を求めた運動と結びつけ、民主主義の大切さを考える動きがある

▼琉球併合、同化政策、沖縄戦、米統治。抑圧と抵抗の歴史は韓国と沖縄に共通している。隣国の節目を機に100年前の独立宣言書にある人類の平等、民族自決の大切さをあらためてかみしめる。