<金口木舌>作家の卵を支えて


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 県高校文化連盟が主催する高校文芸誌コンクールの審査に参加した。各校の部誌はどれも書き手の個性が際立ち、読み手を意識して丁寧に編集されていた

▼詩や小説などを競作するだけでなく、俳句の全国大会への出場報告もあった。沖縄の文化や芸能、政治の課題に焦点を当てた座談会も掲載されていた。個々の活動だけでなく、皆で筆力を引き出し合えるのは部活動の良さだ
▼生徒が参加した交流会では多くの課題が示された。「印刷費が足りず、一部の作品を削らざるを得なかった」「部員が少なく、部誌作りのノウハウ継承に不安がある」「部室がないため継続的な活動や新入部員勧誘に支障を来している」
▼昨年8月の俳句甲子園で興南高校2年の桃原康平さんが個人の最優秀賞を受賞した。県勢初の快挙だ。高校で文芸に打ち込んだ人が卒業後、琉球大学びぶりお文学賞や県文化振興会の「おきなわ文学賞」などに入選した例もある
▼顧問の教師らも献身的に支えており、高校文芸部から将来の文壇を背負う書き手が現れるかもしれない。だが彼らの活動が学校全体、地域社会で十分に理解されていると言えるだろうか
▼文化系の部活動は体育系に比べて脚光を浴びづらい。しかし地道な活動で表現力を磨き合う生徒が各校にいる。意義が広く理解され、伸び伸びと活動できる環境が整うことを願っている。