<金口木舌>日本人の意識


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 4月1日は新たな元号が発表される。安倍晋三首相が会見し、新元号に込められた意義やメッセージを国民に伝える。元号と同様に漢字や熟語にはそれぞれの文字やその連なりに意味がある

▼住友生命保険相互会社は「平成」を象徴する創作の四文字熟語を募集した。最も票を集めたのは「天衣無縫」になぞらえた「天威無法」で東日本大震災を題材にした。「平成」を象徴する1字は2位の3倍近い票を集め「災」だった
▼甚大な被害を与えた天災への無力感やテロへの恐怖をうかがわせる。2位は阪神大震災、4位はオウム真理教事件、6位は米中枢同時テロがテーマだった。いかに激動の時代だったかがよく分かる
▼ITの発展に関するものも目立った。日本人の意識はどう変わったか。博報堂生活総合研究所は1992年から2018年までの26年間に毎年行ったアンケートの結果を公表している
▼92年と18年を比べると、高い科学技術水準や教育水準、経済的繁栄が「日本の誇り」と回答した人はいずれも半数近く減少した。それぞれの要素の落ち込みが反映されたとみられる
▼その一方、国民の人情味や義理堅さ、質の高いサービスを「誇り」に感じる人は増えた。あらゆる災害、危機に直面したとき、最終的に頼りや支えになるのは人間の優しさであり丁寧な対応だ。次の時代は人のぬくもり、思いやりが求められている。