異例の連休もきょうで終わる。旅先での楽しみの一つが土産選び。連休中に那覇市内の塩の専門店に入ると、おしゃれな小瓶に詰められた県産塩(マース)を買い求める観光客でにぎわっていた
▼5年ごとの調査「2016年経済センサス」によると、沖縄の食卓塩出荷量は1万4530トンで全国1位。全体の14%を占め、海に囲まれた沖縄は日本有数の塩の産地
▼1972年5月15日の復帰に伴い沖縄にも専売制度が適用されると、県内の製塩業者は廃業に追い込まれた。海のミネラルをたっぷり含んだマースは一時期消えた。その後の業界関係者による粘り強い復活運動や97年の専売制度廃止もあってマースは現在に至る
▼小中一貫教育校、名護市立屋我地ひるぎ学園7年生13人が屋我地の塩田で塩作りを体験した。製塩法は伝統的な入浜式塩田。干満の差を利用して海水を塩田に引き入れ、湿らせた砂から塩を作る
▼「塩に関する郷土があるのはすごい」「自然と闘って塩ができあがっていく」。生徒たちの感想だ。塩田でカシーと呼ばれる粘性の砂をまき、天日に干し、ならし、カシー集めなど一連の作業を通じて実感した
▼給料を意味するサラリーの語源は、塩の支給を意味するラテン語「サラリューム」。ローマ時代、貨幣代わりになるほど塩は貴重だった。その恵みをもたらす沖縄の海そのものも、またしかり。