<金口木舌>廃棄予定が誰かの笑顔に


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 サトウキビで有名な南大東島ではカボチャも生産し、東京など県外に出荷している。本島でほとんど出回らないカボチャ約40キロが、八重瀬町社会福祉協議会に提供された。規格外で小ぶりだが、甘みは強い

▼島では規格外のカボチャをヤギに食べさせるという。「子どもたちのために」とカボチャを届けた提供者は取材を受けず、島に帰った
▼学生時代にアルバイトをしていたファストフード店では、規定の時間を過ぎた食品を鍵付きのゴミ捨て場に廃棄(ロス)していた。節分の恵方巻きの売れ残りが大量処分されるニュース映像は、記憶に新しい
▼食品ロス削減推進法が先月、成立した。まだ食べられるのに廃棄される「食品ロス」を減らすため、政府が基本方針を策定する。自治体には具体的な推進計画を作る努力義務が課された。国民も主体的に課題に取り組み、社会全体で対応することを求めている
▼コンビニ大手は消費期限の近づいた弁当やおにぎりの購入者に、ポイントを還元する方針を打ち出した。食品の大量廃棄を見直す機運が高まっている
▼八重瀬町社協はカボチャを那覇市と南城市、糸満市の子どもの居場所に“お裾分け”した。ホクホクした甘いカボチャは煮物やコロッケなどに調理され、子どもたちは大喜びだったという。人の口には入らなかったはずの食品が、どこかで誰かを笑顔にしている。