<金口木舌>伝えるのが大人の役目


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 地元なら当然でも、他からすると意外なものはままある。「ご当地あるある」を基にしたテレビ番組を見ていると独特の習慣に驚かされる。沖縄が取り上げられると、郷土愛もあって見入ってしまう

▼図書館に都道府県ごとの常識をクイズにした子ども向けの本があった。行ったことのない土地への興味は子どもたちこそ強いのかもしれない。「沖縄で桜は何月に咲くか」との問いもある
▼小学生の頃、自宅敷地で薬きょうを見つけた。祖父が耕す畑から複数個出てきたように覚えている。県外での学生時代、沖縄では避難を伴う不発弾処理があると、関東で育った友達に話したらびっくりしていた
▼知られていないことに逆に驚いた。地域差に加え、世代間の認識の違いも深刻なのかもしれない。宜野湾市で児童、生徒が手りゅう弾で遊んでいた。投げもしたというから、ぞっとする
▼不発弾に触れてはならないのは常識だが、好奇心旺盛な子どもたちにとってはどうなのか。宜野湾のケースでは危険性を感じていなかったようだ。爆発の恐れがあることについて広く注意を喚起する必要がある。改めて思い知らされる
▼9日には糸満市で米国製250キロ爆弾の処理があり、約400世帯、1200人余りが避難した。鎮魂と祈りの季節を迎えた。沖縄の歴史と共に安全についての知識を伝えることも大人の役目だ。