<金口木舌>平和を支える杖

 那覇市内で先日開かれたひめゆり平和祈念資料館の開館30年記念祝賀会におじゃました。元学徒の元気な姿にうれしくなった。ひめゆり以外の学徒隊や鉄血勤皇隊の元学徒も出席していた

▼沖縄戦から74年、90代となった元学徒もいる。証言活動などで気を張っているためだろうか、表情は若々しい。元学徒の幾人かは杖(つえ)を手にしていた。その姿を見ていて、幾枚かの沖縄戦の記録写真を思い出した
▼米軍に捕らわれ、収容地区に移動する途中だろう。杖を頼りに歩くお年寄りがいた。足を痛め、背丈より高い木材を杖替わりにしている子どもがいた。中年世代も杖をついた
▼軍民混在の悲惨な戦場や、飢餓とマラリアが避難民を襲う山中を生き延びた人々が杖を手に収容所へと向かう。生きながらえた命を杖で懸命に支えた。杖を支えに、戦後の歩みを始めた
▼元学徒の存在は「私たちの精神的な支え」という声を祝賀会で聞いた。確かにその通りであろう。戦場体験を次代に継承し、平和を希求する歩みを支えてきたのが元学徒の方々の証言活動であった。「平和を支える杖」である
▼慰霊の日が巡ってくる。犠牲者を悼み、平和を願う場で、今年は何が語られるだろうか。私たちも平和を支える杖を心の中に持ちたい。そのためにもひめゆり平和祈念資料館や県平和祈念資料館、対馬丸記念館を訪ねよう。何度でも。









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