<金口木舌>逃げ出したサル


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 ニホンザルの亜種・ヤクシマザルが沖縄こどもの国から逃げ出した。原因は鍵のかけ忘れだった。職員が総出で捕獲に走り回り、警察官や沖縄市職員らを含む100人態勢で行方を追った。周辺の学校は子どもたちを外に出さないよう対応を迫られた

▼飼育されている動物の「脱走」は県内各地で時折、起こっている。2014年に改装中の飲食店からワニが逃げ、警察官らが捕まえた。1993年には名護市で、飼育場所から逃げ出したとみられるコブラも捕まった
▼73年には那覇空港で、タイから沖縄こどもの国に届けられる予定だったゾウの行方が分からなくなった。生後10カ月の子ゾウだった。逃げる姿を警備員が目撃していたが、その後の空港職員や警察、自衛隊などによる大規模な捜索でも見つからなかった
▼子ゾウが幼かったため、パニックになったとみられている。現在では生後間もないゾウを母親と引き離すことはないという
▼人の心を和ませ、癒やしてくれる動物も、ひとたびおりから出ると、一転、人に危害を与える存在になり得る。人間にとっても動物にとっても不幸なことだ
▼子ゾウがパニックを起こしたように、今回のサルたちにも逃げ出すきっかけがあったのかもしれない。再発防止のために動物園が見直すべき点はもちろん、動物の展示の仕方など社会全体で考えるべきこともあるだろう。