<金口木舌>「旧姓併記」は前進か?後退か?

 「旧姓併記可能に」という記事に、何人の読者が関心を持っただろうか。女性活躍推進の一環として、11月5日から住民票への旧姓併記が可能になる。運転免許証も旧姓を記載できる方向で準備を進めている

▼1898年に明治民法が施行され、夫婦同姓を義務付けた。1947年に民法は改正されたが、夫婦同姓は残った。「夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称する」と定めるが、多くの女性が夫の姓に変える
▼最高裁は2015年に夫婦同姓を合憲と判断した。さらに「国会で論ぜられ判断されるべきだ」としたが、議論はほとんどない
▼内閣府が18年に発表した調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けて、民法改正賛成派(42・5%)が反対派(29・3%)を上回った。3日に日本記者クラブが主催した与野党7党の党首討論会では、自民党以外の6党が選択的夫婦別姓の導入に賛成した
▼旧姓の併記で銀行口座の開設など、旧姓を使いやすくなるとの見方もある。一方で、選択的夫婦別姓の実現から遠のくのではないかという懸念もある。参院選の自民党の公約は「旧姓の幅広い使用を認める」だ
▼明治民法施行から120年余が過ぎた。同性婚を認める公約を掲げる政党もある中、結婚の在り方を含めた議論が急務だ。女性が自分らしく活躍できる社会は、家族の多様性を認め、誰もが生きやすい社会への第一歩だ。