<金口木舌>まちづくりの可能性


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 遅ればせながら、サンエー浦添西海岸パルコシティに出掛けた。開店から1カ月余り。平日にもかかわらず、多くの買い物客や観光客で大にぎわいだった

▼とにかく広い。方向音痴の当方は見取り図に頼っても目当ての店を探せない。北中城村のイオンモール沖縄ライカムでもそうだった。迷っているうちに、約30年前の記憶がよみがえった
▼新名所のお隣と言ってよいだろうか。米軍キャンプ・キンザー内にある一棟の倉庫を訪ねたことがある。中古の家具類を納めた長大な棚に戸惑い、たちまち迷子になってしまった。圧倒的な物量には驚いた
▼パルコシティもさまざまな商品棚が並び、物量に圧倒されたが、薄暗くて無機質な倉庫とは違う。軽快な音楽が流れ、店内は明るい。何よりも客の笑顔に心が和む。基地に隣接した空間に生まれた別天地といった趣である
▼イオンモール沖縄ライカムも米軍基地跡地に生まれた。大型ショッピングモールの進出は、既存商店街の脅威となる。共存の道はあるだろうか。まずは日々の暮らしから支えたい。なじみの商店街へ総菜を買いに行こう
▼せっかくパルコシティに来たのだからと、記念にハンバーガーとジュースを買った。締めて440円。道向こうの護岸で海を眺めながら食べた。まちづくりの可能性と課題を考えながらも、開放的な気分に浸った。いい買い物だった。