<金口木舌>左党よ、目を光らせよう


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 発泡酒を敬遠していた時期があった。出始めから数年間のことだ。安い発泡酒を大量に買って飲むよりも、少量でもおいしいビールを味わった方がいい、という偏狭な理屈をこさえていた

▼何を粋がっていたのかと今にして思う。安くても美味という魅力に気付いたのは2年ほど前だったか。今ではわが家の冷蔵庫に発泡酒の缶が並んでいる。最近のお気に入りは酎ハイやハイボール
▼当方のような左党にとって、消費税率の引き上げは少々痛い。嗜好(しこう)品たるお酒は軽減税率の対象とはならなかった。これからは懐具合と相談しながらお酒を買うとしよう。もちろん自分の健康とも
▼消費税導入は1989年4月。税率は3%だったが、消費者の不満は大きかった。当時の本紙には「消費者自衛に走る」「お客も店も不安がいっぱい」の見出しが躍っている。30年後の今と変わりはない
▼「自分と、家族と、みんなのための3%」とは消費税を導入した当時、国民に理解を求める政府広報の一文。「+(プラス)2%は、もっとひとりひとりのために」は今回の税率引き上げに際しての、政府広報の文句である。こちらもほぼ同じではないか
▼さて、私たちの暮らしぶりは30年でどう変わったのだろう。消費税導入や税率引き上げで政府が掲げた国民との約束は果たされたかを問うべきである。われら左党もしっかりと目を光らせよう。