<金口木舌>「どんぐり」を見極めよう


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 沖縄では遭遇しないが、全国ではクマの目撃が相次いでいる。要因は好物であるドングリの不作。餌を求めて人里に降りてくるという

▼一方、政治に目を移せばドングリの「豊作」と例えたくもなる。突然の衆院解散で各党は来月16日の投開票に向けた事実上の選挙戦に突入したが、有権者を悩ませそうなのは政党の乱立だ
▼公職選挙法などが定めた要件を満たす国政政党は現在15。離合集散は続いており、政党数はまだ確定しないが、主張の違いもよく分からない状況は「どんぐりの背比べ」と言われても仕方がない
▼政党分裂→新党誕生→合流・再編という流れは今に始まった話ではないが、名前を聞いても主義・主張がすぐに思い出せない政党が増えた。政治理念や政策のすり合わせは後回しに、合併や連携協議の先行も目立つ
▼衆院の小選挙区制は政権交代可能な二大政党制を実現するとして導入されたはず。だが自民党から民主党に政権が移った前回選挙の前後から9政党が生まれた皮肉をどう見るか。新党ラッシュも、野合と批判される第三極結集も、既成政党に対する批判の裏返しであることは間違いない
▼選択肢が多すぎて、なかなか判断が難しい選挙になりそうだが、見方を変えればいつも以上に一人一人の目利きが試されることになる。公約や政治姿勢をそれこそ「どんぐり眼」で見比べよう。