<金口木舌>酒とうまく付き合う


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 12月に入ると、あちらこちらで忘年会が開かれる。立て続けに予定があるという勤め人も多いのではないだろうか。「酒は百薬の長」というが、ほどほどに―が鉄則だろう

▼先日、浦添市主催の講演会「人生を豊かにするために お酒からの脱出」を聴いた。琉球病院の精神科医、中井美紀(みのり)さんがアルコール依存症の怖さと、適切な飲酒の方法について語ったが、酒とうまく“付き合う”ことの大切さを思い知らされた
▼中でもアルコール依存症は「誰でもかかる病気」で「体も心も頭もボロボロになる」という言葉は効いた。気付かないうちに進行する。自分は大丈夫という過信は禁物のようだ
▼大学の学園祭での飲酒が問題となっている。飲酒を禁止した大学も一部あると聞く。学園祭に限らず、大学に入ったばかりの学生が一気飲みをして急性アルコール中毒になり、救急車で搬送される事案は後を絶たない
▼学園祭は年に1度、青春を謳歌(おうか)する意味から容認する意見もあろうが、心身共に成熟しようとする時期の若者に、手放しで飲酒を薦めることはできない。中井さんの「習慣飲酒に入る年齢が低いほど、短期間で依存症になる」との指摘も印象に残った
▼うまく付き合えば人生を豊かにするお酒。が、付き合い方を間違えれば身を滅ぼす。若者たちに節度ある飲酒のお手本を示すのも、人生の先輩の作法と心得たい。