<金口木舌>考える「普通の社会」


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 障がい者の社会参加などを目的にした障害者週間が3日から始まっている。県内でも各地でさまざまなイベントが予定されている

▼ゆいレールの県庁前駅では「心の輪を広げる体験作文」「障害者週間のポスター」が展示されている。部活動でバレーボールに励む、右手に先天性四肢障がいのある久志中2年の男子生徒の作文に目がとまった
▼バレーや習字、フォークダンス、委員会活動など「普通の事を当たり前にこなし、充実した毎日をすごしています」とつづる。周囲の支えに感謝し「右手で得た強さや弱さ、そして今までの経験を無駄にしないようさらに頑張っていこうと思います」。バレーで培った自信、周りとの固い信頼関係が目に浮かんでくる
▼伊是名夏子さんが本紙で連載中の「おはなしありんくりん」では、主婦、学生、障がい者として充実した日々を送る伊是名さんの元気が伝わってくる。個人個人が違うように、障がいも一つの個性として互いに認め合うことが大事と教えてくれる
▼障がい者を取り巻く環境は依然厳しい。県障害者権利条例制定に向けた県民会議の調査では「バスに乗車拒否された」「採用を拒否された」など、障がいを理由にした不当な差別の事例が寄せられた
▼障がいがあってもなくても、互いが支え合って暮らせる社会が「普通の社会」のはずだ。障害者週間を機に「普通」を考えてみたい。