<金口木舌>ヒットのアイディア


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 今年は既存の商品に新たな視点を加えることで消費者ニーズを掘り起こした点が特徴という。師走恒例の2012年ヒット商品番付がこう分析している

▼例えば製法で生麺の食感を出し、ちょっとしたブームを呼んだ即席麺「マルちゃん正麺」、刃を緩やかなカーブにして切れ味を軽くしたはさみ「フィットカットカーブ」など。技術は出尽くしたと思われる成熟市場に、さらなる改良やアイディアの余地があると示した
▼工夫が奏功した例は沖縄にもある。県民が大好きな「あんだんすー」。「油みそ」では県外ではさっぱり売れなかったが、「肉みそ」と変えたら人気が出た。健康志向の強い消費者に向け、中身は変えず、ネーミングの妙でヒットした
▼行政も知恵を出す。沖縄県は長く九州で最低だった自動車税の期限内納付率を九州一にした。きっかけは督促状の色。1通目を黄色、次は青、ピンク、赤と目立つようにしたら効果てきめん
▼50%台だった納付率が2年で7割を超し、今年は79・5%に。05年度には督促状だけで4500万円の税金を使い、全職員に徴収応援業務を課していた。工夫でコストダウンが図れた好例だろう
▼さて選挙。今衆院選は選択肢が12政党に広がり、県内でも過去最多の19人が届け出た。閉塞感(へいそくかん)漂う現状を創意工夫で打破する“ヒット政治家”の登場となるか。私たちの目利き力も問われる。