<金口木舌>今こそ公約で選びたい


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 「ビジョンを描き、事業の優先順位を付け、目標を設定して実行するというマニフェストの考え方が定着しつつある。地方自治が確実に変化している」

▼地方の優れた政策を表彰する「第7回マニフェスト大賞」が先日発表された。冒頭の言葉は審査委員長の北川正恭早大大学院教授のコメントで、受賞者のあいさつも「地域から日本を変える」という熱気にあふれていた
▼だがいま国政ではマニフェスト(政権公約)は旗色が悪い。前回総選挙の看板政策が頓挫した経緯にはもう触れないが、それにしても各党は及び腰すぎないか。今回は数値などの具体的目標を避けた、あいまいな公約が目立つ
▼一方で財源が不明確なバラマキ型の施策が散見されたり、重要政策で党首が従来の説明を覆す発言をして混乱したり、発表していた公約内容が公示直前にあっさり変わったりというドタバタぶりだ
▼今回ほど選択が悩ましい選挙もなかろう。ここは消去法でもいい。自分で勝手に「数値化」するのも一案か。重要だと思う政策を抜き出し、政党や候補者を採点する。浮かび上がるものがきっとあるはずだ
▼マニフェストの提唱者でもある北川さんは「公約に基づかない利益誘導型政治に先祖返りさせてはならない」と警鐘を鳴らす。「優先順位を付け、目標設定し、実行する」という手順は一人一人の投票にも応用できるのではないか。