<金口木舌>市民の目で「番人」をチェック


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 投票日は忙しくなるだろうと思って、衆院選公示の翌日、期日前投票に行こうとした。少し考えて9日以降に変えた。最高裁裁判官の国民審査が9日に始まることを思い出したからだ

▼「憲法の番人」を市民の目でチェックする制度だが、残念ながら事前の情報が足りない。選挙公報が来るのを待つ間、誰がどんな判断をしたのか振り返る手掛かりを探した
▼最近話題になったことでは「1票の格差」。今回対象の10裁判官のうち、2010年の参議院選挙を明確に「違憲」としたのは弁護士出身の2人。8人は不平等であることを認める「違憲状態」とした
▼このうち3人は前回衆院選を「違憲状態」と認めながら、今選挙の差し止めを求めた弁護士の訴えは退けている。1票の重みより政治日程が優先? 素人には分かりにくい判断だ
▼日の丸への起立・君が代の斉唱を命じた学校長の職務命令は全裁判官が合憲。生活保護の老齢加算廃止を合憲とした裁判官も4人いる。思想・信条の自由や健康で文化的な生活の維持といった憲法の理念をどう考えているのか聞いてみたい
▼嘉手納、普天間の爆音訴訟を挙げるまでもなく、沖縄は平和的生存権など憲法が認める権利をめぐり国との争いが続く。「番人」が守るのは憲法か行政府の権力か。憲法が身近に感じられる沖縄だからこそ、市民の目で「番人」の適性を確かめたい。