<金口木舌>希望の光


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 緊急地震速報のチャイムが鳴ると胸が締め付けられる感じがする。昨年の3月11日以来、ずっとだ

▼7日に東北と関東で震度5弱の地震があり、津波警報も出された。東京の友人によると「地震があると、途端に泣き出してしまう子どもが多い」という。東日本大震災の記憶はいや応なしに私たちの体に染み付いている
▼震災1年となる2012年3月11日の一日を追った映画「JAPAN IN A DAY」を見た。その日、全国の人が撮影し、寄せられた映像をまとめたものだ。さまざまな思いでその日を迎えた人たちの姿がつづられる
▼当たり前の日常を過ごす人たち。一方で、津波に家をさらわれ電話機だけが残った人。原発事故の影響で自宅の庭で遊べない子どもたち。地震直前に生まれた子。妻と娘、親を亡くした男性の「この一年、いろんなことが降り注ぎすぎた。泣く暇もなかった」との言葉が心に響く
▼11日で震災から1年9カ月。復興も進みつつあるが、被災者の悲しみは今も癒えない。原発事故の影響も続く。防災への教訓にとどまらず、震災の記憶をどう継承していくのか。私たちに突き付けられた課題だ
▼映画では、前を向いていこうとする人の決意があった。子どもたちの笑顔があった。3月11日は毎年やってくる。希望の光を絶やさぬよう、私たちにできることがきっとあるはずだ。