<金口木舌>引き当てた「天下一品」


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 今年のプロ野球ドラフト会議1巡目で、東浜巨投手(沖尚高―亜大)との交渉権を福岡ソフトバンクホークスが引き当てた瞬間、地元紙以外に沸き立った新聞社がもう1社あった

▼それは福岡市に本社のある西日本新聞だ。同社は、福岡を本拠地とするホークスの取材には並々ならぬ力を入れる。西日本スポーツも発刊し、全国でも珍しくスポーツ記者が本紙とスポーツ紙に記事を書き分ける
▼既に東浜投手の「番記者」が配置されている。東浜投手の記事が何度かスポーツ紙の1面を飾っている。西日本スポーツにとっては、東浜のプロ初勝利が各紙と差別化を図る勝負どころという
▼同社の安部裕視運動部長は「勝って良かった、で終わりじゃない。どんな切り口で書くかが他紙との勝負。記者が初勝利にまつわる材料をどれだけ持っているかで勝ち負けは決まる」。その日のために、記者は日々材料集めに奔走する
▼取材を受ける側の東浜投手自身、人一倍研究熱心な努力家として知られる。高校時代から記してきた「野球日誌」は1冊の本になった。打者に応じて投球を組み立てる力は既に「天下一品」の呼び声もある
▼しかし、プロの厳しさはアマの比ではなかろう。栄光、葛藤、挫折…何が待っているか。東浜投手ならきっと乗り越えられると信じたい。努力する新星の素顔にいかに迫るか。新聞も“腕”の見せどころだ。