<金口木舌>闘いの場に歌がある


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 普天間飛行場野嵩ゲートで週2日、オスプレイ配備に抗議するキリスト教徒らの集会で歌ってきた「ウィ・シャル・オーバーカム」。1960年代に青春期を送った世代には「勝利をわれらに」の邦題で親しまれている

▼米フォーク歌手ピート・シーガーが広め、公民権運動を象徴する歌となった。1963年8月のワシントン大行進でのジョーン・バエズの歌唱も有名。キング牧師の名演説「私には夢がある」と共に歴史に刻まれた
▼この歌は闘争の場が舞台のたけだけしい抵抗歌と思い込んでいたが、実は賛美歌として教会で歌われてきた。そう聞けば野嵩ゲートで耳にした透明感あふれる歌声もうなずける
▼闘いの場には歌が付きものだ。復帰運動で歌われた「沖縄を返せ」。反基地闘争では「一坪たりとも渡すまい」が生まれた。歌はくじけそうになった心を慰め、新たな一歩への支えとなる
▼9月末、野嵩ゲート前で繰り広げた警察のもみ合いの後、集会参加者が口ずさんだのが沖縄の教訓歌「てぃんさぐの花」だった。心に染みるメロディーに心が揺さぶられ、目頭が熱くなったのを覚えている
▼23日の「御万人大行動」でも歌声が響くに違いない。「七転び転でぃ ヒヤミカチ起きり」という歌詞と威勢のいいはやし。個人的には「ヒヤミカチ節」が気に入っているが、さて県民はどんな歌でつながるか。