<金口木舌>発達障がいに理解を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 どうしてそんなに不安になっているのか分からない。周囲は何をしてあげたらいいのか。予定を忘れたり物を置き忘れたり、何度注意されても忘れてしまう…

▼これらは発達障がいをめぐる対話の特徴的な例だ。発達障がいとは自閉症、アスペルガー症候群といった広汎性発達障がい、注意欠陥多動性障がい、学習障がいなどをひとくくりにした総称。脳機能の障がいと考えられるが、原因はよく分かっておらず、幼いころから症状が現れる
▼冒頭の例は誰にでもある性格的な傾向とも見られがちだが、障がいを持つ人にとっては大人になってもさまざまな生活のしづらさを抱え、深刻な問題とされる
▼半面、極端に計算が苦手でも電卓を使いこなしてハンディを克服したり、ある分野では人並み外れた知識を習得して能力を発揮する場合もある。早い時期から周囲が理解し、能力を伸ばすために必要な支援や環境の調整が必要だ
▼過日、県内で発達障がいの講演を行った都立小児総合医療センターの近藤直司氏は「青年期に、自分らしい社会参加の方向性を主体的に選択できるようになれば理想的」と指摘した
▼以前に比べ発達障がいの数や割合が増えたかどうかは判然としないが「周りが気付くようになったのは確か」と近藤氏。人が生きやすい社会を築くためにも、多くの人が先入観を捨て、この障がいへの理解を深めることが肝要だ。