<金口木舌>「ルビー婚式」、沖縄と国の関係は?


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 新聞社は今、新年企画の追い込み作業中だ。企業トップへの取材で会社設立40年の今年を振り返ったある社長が「地域発展に尽くすというDNAを引き継ぐことが使命」と、本土復帰時から継続する社会貢献への誇りをにじませた

▼結婚でいえば、40年はルビー婚式。深い信頼と誠意の意味が込められる。40年は夫婦なら信頼を築くのに十分な歳月だが、基地という、とげの刺さった沖縄と国の関係はだいぶ違う
▼首相就任間近の安倍晋三氏が米軍普天間飛行場の辺野古移設を言い放った。「地元に理解を訴える」とするが、住民の憤りや怒りを無視するKY(空気を読めない)ぶりを見ると、野党としての3年余に何を学んだのかと思う
▼県内経済団体のあるトップは、企業の「歴史の浅さ」に触れ、「沖縄戦で一度全てがなくなった。国は沖縄振興の意義や背景をしっかり学ぶべきだよ」と述べた。沖縄への関心が薄れることへの危機感の表れか
▼帝国データバンクの調べでは創業100年を超える県内企業は11社。全国で2番目に少ない。一方で企業の平均年齢は20・7歳で最も若く、成長の潜在力を秘めている
▼基地経済に頼り切る時代ではもはやない。それを誰より自覚しているのも県内企業だ。クリスマスに乗じ基地固定化のおまけ付き振興策をプレゼントして、誰が喜ぶとお思いですか。安倍さん。