<金口木舌>希望と笑顔で迎える年の瀬


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 短いあいさつの中に込められた街への愛情がじんわりと伝わってきた。「中の町の発展を心から願っている。言いたいことは一つ。本当に感謝している」。聞く者の心に響くものがあった

▼あいさつの主は中の町社交街で9年間飲食店を営んできた喜屋武正さん。オーナー業に励みつつ「中の町応援隊長」として街の活性化に奮闘した。その最中に大病を患い、仲間たちの支えで店を守り続けた
▼体調を理由に店を離れることになったオーナーを仲間たちは温かく見送った。個人の情熱と人の輪が街をつくるという理想型がそこにある。店は新オーナーに引き継がれた。中の町に寄せる喜屋武さんの情熱とともに
▼音楽による地域活性化を目指す若手経営者から聞いた。コザの街でも若者の「酒離れ、街離れ、音楽離れ」が進んでいるという。ライブ告知のちらしを配る彼は話す。「首里城を復元したように、地道に音楽の街を復活したい」
▼米軍の深夜外出禁止令や基地外飲酒禁止令のあおりでライブハウスの店主たちは正念場を迎えている。「僕らは希望を持っている。この街を愛し、街の文化を信じている」と、街の相談役を任じる豊田益市さん。街は今、踏ん張りどころ
▼希望と笑顔を忘れず前を見据えよう。きっと苦境を乗り越えることはできるはず。そんな願いとともにコザの街は年の終わりを迎える。