<金口木舌>必ず春は来る


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 今年も残りはあと1日。基地問題や政権交代、いろいろな出来事があった。印象的な言葉で1年を振り返ってみた

▼「全基地即時閉鎖という動きに行かざるを得ない」。オスプレイ強行配備に反対する仲井真弘多知事が怒りのボルテージを上げた。普天間の県内移設を諦めない政府が、さらに“火に油”を注ぎそう。知事、県民の怒りはどこへ向かうか
▼安倍晋三首相は就任前、地元山口県での記者会見で辺野古移設推進を強調。沖縄の負担軽減を「各地域にもお願いする」と述べた。県外移設へ向けて、自らのお膝元から「地元の理解を得る努力」を始めるというなら信頼度もぐんとアップしようが、さてその心は
▼退陣した野田佳彦前首相は消費税増税へ「ネバー、ネバー、ネバー、ネバー、ギブアップ」。諦めないのは勝手だが、普天間、オスプレイなど最後まで民意とずれていた。新生民主党には「反省なくして復権はネバーエバー(絶対ない)」の言葉を
▼政治家の発言を聞くと、この1年、沖縄と東京の距離感は、ますます開いたと感じる。同じように中央との距離感を抱くのは東北の被災地か
▼震災から1年たった今年3月。孫を失った宮城県の比嘉春吉さんが、同じ境遇の人に伝えたい言葉が紙面で紹介された。「冬の次には必ず春が来る」。諦めるのは早い。新年こそは、春の陽気のように心安らぐ1年としたい。