<金口木舌>明るい未来を開く年に


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 2013年を迎えた。「新玉の年に炭と昆布飾て 心から姿若くなゆさ」と歌う「かぎやで風」のように、心新たにこの一年を過ごしたい

▼今年は巳(み)年。動物ではヘビが当てられる。沖縄ではハブやアカマタが代表的だが、足がなく細長い姿形から、嫌われもののイメージが強い。ヘビにまつわる言葉を拾ってみても、あまり印象は良くない
▼「藪蛇(やぶへび)」とは、余計なことをして思わぬ災難を受けてしまうこと。春秋時代の故事による「封豕長蛇(ほうしちょうだ)」は、貪欲で残忍な人や行いの例えだ。沖縄の旧暦3月3日の「浜下り」の由来にも、魔物として美男子に化けたアカマタが登場する
▼忌み嫌われることが多いヘビだが、一方では縁起が良いとも言われる。白ヘビは信仰の対象にもなり富をもたらす、ヘビの抜け殻を財布に入れるとお金がたまる―。こんな言い伝えもあり、決して侮れない
▼今年も多くの課題に直面する。経済再生や原発政策の在り方、消費税増税、社会保障、TPP。昨年も基地問題に揺れた県内では辺野古移設問題で正念場を迎える。さまざまな決断を迫られる一年になりそうだ
▼「巳」という字は、ヘビが冬眠から起き出す姿とされ、始まりの意味もある。脱皮する姿は復活と再生を表し、古くから生命力の象徴となってきた。幸運と生命力にあやかって、今年を明るい未来を切り開く年としたい。