<金口木舌>夢をつなぐもの


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 「すごい、あんなことができるのか」「まさか、信じられない」。幼いころに素晴らしい技芸や舞台を見てワクワクドキドキした記憶は、いくつになっても忘れられない

▼サーカスもその一つだ。8年ぶりの木下大サーカス沖縄公演が、豊見城市豊崎で2月3日までの日程で行われている。木下サーカスは1902年、初代団長の木下唯助氏が中国・大連で旗揚げ。曲馬などで同サーカスの歴史はスタートした
▼40年ほど前、小学生のころに父に連れられて、木下サーカスの“故郷”岡山市で公演を見た。オートバイショーなど、その時の胸の高鳴りと記憶は今も鮮明に残っている
▼110年に及ぶ歴史の中で、木下サーカスは総合エンターテインメントとして進化した。県内の観覧者で、公演内容が8年前あるいは15年前の沖縄公演と比べ、より洗練され、完成度が高くなっていると感じた方も多いのではないか
▼現社長、木下唯志氏の「魔法にかかったような感覚や驚き、心が通い合う質の高い感動体験を届けたい」(同社ホームページ)との言葉にプロの誇りがにじむ。その思いもしっかり受け止めたい
▼サーカスに限らず、各種イベントの後などに笑顔に包まれた家族連れの姿を見るとほっとする。サーカスでも童心に帰ったかのような大人の表情が印象的だ。夢を次世代につなぐ「平和」も当たり前でなければと思う。